菊池病院では、男性・女性による4名の医師体制で皮膚科を診療しています。肌のお悩みや困り事に関して、お気軽にご相談ください。
ワキ汗(原発性腋窩多汗症)
【主な症状】
人は暑いとき、驚いたとき、刺激物を食べたときに汗をかきますが、人の体には「エクリン腺」「アポクリン腺」と呼ばれる2つの汗腺があり、それぞれ出る汗の性質が異なります。エクリン腺はほぼ全身にあり、体温調節のため無臭の汗が出るのに対し、アポクリン腺はわきなど体の一部から、脂質やタンパク質を含んだ汗を出します。
原発性腋窩多汗症とはホルモンや神経異常などの原因がないのに、日常生活で困るほど大量の汗をかく状態を指します。服に汗ジミができて目立つ、汗がにじむ不快感で仕事に集中できないとお悩みの方も多くいらっしゃいます。ぜひお気軽にご相談ください。
【お悩みポイント:このような場合はご相談ください】
- 汗ジミが気になって好きな色の服が着られない
- 汗が滲む不快感で日常生活に支障が出ている
- 症状が出たのが25歳以下
- 同様の悩みを持つ家族がいる
- 睡眠中はワキ汗が止まっている
- 一週間に一度以上、ワキ汗が多いと感じることがある
【治療法】
当院では外用療法として、塗り薬(保険適応)の処方に応じます。多汗症でお悩みの方は多いので、ぜひお気軽にご相談ください。日頃自分でできるケアとして、こまめに衣服を取り替える、ワキ汗パッドを活用するのもおすすめです。
にきび
【主な症状】
毛穴が古い角質で塞がれると、皮脂が毛穴の中に溜まり、「面ぽう(コメド)」ができます。この面ぽうの中に、肌の常在菌であるアクネ菌が繁殖すると皮膚が炎症を起こし、にきびになります。はじめは小さなポツポツでも、ひどくなると赤みが強くなったり、膿が出ることもあります。そのまま放置して自然に治ったとしても、凹凸や黒ずみといったにきび跡が残るケースもみられます。
【お悩みポイント:このような場合はご相談ください】
- にきびの中に膿ができてしまい、潰してしまいそう
- にきびが赤く腫れて痛い
【治療法】
にきびの種類により、さまざまな治療薬があります。一般的にはアクネ菌の増殖を抑え、炎症を鎮める強い抗菌作用を持つ抗生物質、痛みを抑える抗炎症剤が処方されます。内服薬では過剰な皮脂の分泌を抑えるビタミン剤、ホルモンバランスを整えるホルモン剤、体質改善のために漢方薬が処方されることもあります。薬剤耐性を持ったアクネ菌が増えないよう、最近では毛穴の詰まりを改善する外用の抗コメド薬も登場しています。原因であるアクネ菌の増殖を防ぐには、皮膚を清潔に保ち、スキンケアと生活習慣を見直すことが大切です。日常的なストレス、肌の乾燥、睡眠不足などをできるだけ解消し、バランスの良い食生活や規則正しい生活を心がけましょう。
当院では皮膚科専門医によるにきび治療の専門外来を設けており、にきびのタイプに応じて治療を行います。ご希望者には医師がにきび関連のリーフレットをお渡ししますので、ぜひ予防にご活用ください。
アレルギー
【主な症状】
体がアレルギーの原因物質(アレルゲン)を取り込んだとき、ウイルスや異物から体を守る免疫が過剰に働くことで、アレルギー症状が引き起こされます。
スギ・ブタクサ・ヨモギなど季節性の花粉症、特定の食べ物を摂取したときに起こる食物アレルギー、ほこりや動物の毛、カビなどが原因の通年性アレルギー、ネックレスなど金属との接触で引き起こされる金属アレルギー、ハチや虫に刺されることによるアナフィラキシー反応など、軽いものから重いものまで種類や症状はさまざまです。
【お悩みポイント:このような場合はご相談ください】
- 季節の変わり目にくしゃみが多くなった
- 金属を身に付けるとぶつぶつができる
- 特定の食べ物で口の周りがかゆくなる
【治療法】
まずはアレルギーの原因物質を検査し、軽いものであれば反応をやわらげる抗ヒスタミン薬を処方します。炎症を抑えるためにステロイド(副腎皮質ホルモン)を使うこともありますが、長く使い続けると副作用が出てしまうため、喘息なら吸入器、花粉症なら点鼻薬といった、患部だけに効果が得られる薬が出ています。
爪水虫
【主な症状】
白癬菌と呼ばれる、水虫の原因菌が爪に感染することで引き起こされます。爪が白や黄色に変色し、だんだん厚くなり変形し、ぼろぼろと剥がれ落ちることがあります。爪には神経がないので最初は痛みやかゆみを感じることはほとんどありませんが、歩行が難しくなったり、自分で爪を切ることが難しくなるため、放置せず早めに治療することが大切です。
【お悩みポイント:このような場合はご相談ください】
- 爪の色が黄色・白っぽい
- 爪に白い筋ができ、形がおかしい
- 足に水虫がある
【治療法】
「抗真菌薬」という白癬菌の増殖を抑える飲み薬や塗り薬を処方します。抗真菌薬の効果が出ると爪の根元からきれいな爪が伸びますが、完治させるには感染した爪が新しい爪に生え変わる必要があります。通常、爪の生え変わりには1年半ほどかかると言われています。
足水虫にも感染している場合、白癬菌は足から爪・爪から足へ広がるので、同時に治療しましょう。水虫に感染している家族がいる場合は一緒に治療することをおすすめします。家族と共用しているマットや部屋をこまめに掃除したり、毎日指の間まで洗うなど、足の周りを清潔に保つことが重要です。足水虫からも白癬菌は感染するため、自己判断で治療をやめると再発することがあります。根気よく続けましょう。
イボ(ゆうぜい)
【主な症状】
皮膚にできた小さな傷からウイルス(HPV)が感染し、時間をかけて皮膚の一部が盛り上がってきます。見た目はうおの目、たこに似ていますが、誤って市販薬を使うとかえって悪化することもあります。ひっかき傷などで手足を傷つけやすく、免疫力が未熟なお子様に多く見られる病気です。
自己免疫で治癒することもありますが、ウイルスが原因で人に感染させてしまうこともあり、患部を自分で触ったり削ったりするのは厳禁。他の部位に転移したり、いぼが増えて治るまでに時間がかかってしまいます。そのまま放置せず、お早めにご相談ください。
【お悩みポイント:このような場合はご相談ください】
- 白色または褐色のいぼがある
- 誤っていぼを潰し、かえって増えてしまった
【治療法】
HPVウイルスに対する効果的な薬がないため、直接除去する方法が一般的です。液体窒素をいぼに当て、皮膚を凍らせて細胞ごといぼを除去する冷凍凝固療法、電気でいぼを焼く電気焼灼法などがあります。ハトムギエキスを使ったヨクイニンなど漢方薬の内服、保湿剤やワセリンなど外用薬を併用することもあります。
複数回の治療が必要になることが多く、根気よく治療を続ける必要があります。
医師紹介
松田 俊樹(まつだ としき)
患者様の身になり、診察治療するよう心がけています。
- プロフィール
医師免許取得1978年 名古屋大学医学部医学科卒業
所属学会・資格/日本皮膚科学会認定専門医
倉橋 直子(くらはし なおこ)
皮膚についてお悩みや気になることなどありましたら、お気軽にご相談ください。
- プロフィール
医師免許取得2003年 名古屋大学医学部医学科卒業
所属学会・資格/日本皮膚科学会